熱加工と非熱加工

レーザ加工には、

■ 金属の溶接や切断、樹脂材料の溶着といった加工を行う熱加工

■ 非金属材料(セラミックス、樹脂、シリコン、複合素材など)の穴あけ、溝あけなど
  材料に対し熱損傷(熱によるダレなど)を抑えた加工を行う非熱加工(アブレーション加工)

という大別して2種類の加工方法がある。
ここでは、熱加工非熱加工の違いを具体的に説明する。

【参考加工例】
穴あけ加工(セラミックス等) 溝あけ加工(セラミックス等)
切断加工(セラミックス等) 溶接加工(SUS304等)

熱加工

熱加工とは、レーザ光が固体材料の表面で吸収されて熱に変換され、その熱エネルギーで
材料を溶融しながら行う加工のことである。

材料を溶かす上で必要な熱エネルギーは、赤外線のレーザ光が固体材料内部に
共鳴吸収されて起こる。

熱加工では、金属材料(ステンレス、アルミ、銅など)の溶接や切断、焼き入れ、表面改質、
そして樹脂系材料の溶着などが行われており、主には熱的な作用を起こしやすい赤外線レーザが
使用されている。

赤外線レーザは、加工対象が小さな電子部品から大きな自動車、鉄道、航空機部品など
幅広いため、対応するレーザ光の出力も数十W~数十kWとかなりの大出力まで存在する。

非熱加工

非熱加工の代表的な加工としてアブレーション加工がある。

アブレーション加工とは加工部周辺の熱の影響を極力抑え、大気圧下でかなりの高温でしか
溶融しない材料でもレーザ光を吸収した箇所が瞬時に溶融し、蒸発、飛散することで行われる
除去加工である。

非熱加工も熱加工と同じように材料表面を溶融するが、溶融された箇所が瞬時に蒸発、飛散し
除去されるため、加工部周辺への熱影響が少なく熱損傷の少ない加工を行ことができる。

アブレーション加工は、材料に対し照射するレーザ光が十分に大きなピークパワー(W)や
エネルギー密度(J/cm2)を得ることができるパルスレーザを使用することで可能となる。

非熱加工(アブレーション加工)では、非金属材料(セラミックス、樹脂、シリコン、複合素材など)の
微細な穴あけ、溝あけなどの加工が主に行われており、加工内容に応じて赤外線レーザから
紫外線レーザ、そして極短パルスレーザまで幅広く使用されている。


加工目的に応じたレーザ発振器の選定が加工品質を決定する

レーザ発振器の波長とコスト

非熱加工で使用されるパルスレーザは、熱加工で使用される赤外線レーザより
ピークパワーが高いが、レーザ発振器の平均出力(W)としては数Wから数十Wと
熱加工用レーザと比較するとそれ程大きくはない。

しかし、レーザ光の出力(W)を基準にして購入コストを見た場合、
例えば赤外線レーザ1kW当たり1千万円で購入できるCO2レーザに対し、
わずか10Wで1千万円を越えるのが紫外線レーザである。

極短パルスレーザと呼ばれるピコ秒、フェムト秒レーザになると、10Wで3千万円を超える
金額となり非熱加工用のレーザ発振器は非常に高価であることがわかる。

しかし、加工部周辺の熱影響を避け、かつ微細な加工を行う場合は加工自体の付加価値が
高いため、生産ラインでも積極的に採用されている。


レーザ発振器の波長とコスト(極短パルスレーザ)

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