熱加工と非熱加工

非熱加工におけるレーザ発振器選定のポイント

非熱加工における加工品質は、加工部周辺への熱影響をいかに低減するかで決まる。
一方で、加工品質を求めれば求めるほど、レーザ発振器のコストは高くなる。
ここでは、非熱加工におけるレーザ発振器選定のポイントを説明する。

熱加工の場合は、赤外線レーザが選ばれることが多いが、非熱加工におけるレーザ発振器の選定
にあたっては、加工部周辺への熱影響を抑えるため加工材料に対し吸収率が高い
レーザ光(波長)を発振するパルスレーザを選定するのが一般的である。 

しかし、要求される加工内容や購入予算によってはレーザ光の吸収率だけで判断することは難しい。
非熱加工が要求される微細加工では、加工径や導入コストも考慮する必要があるからだ。


加工目的に応じたレーザ発振器の選定が加工品質を決定する

図は、レーザ発振器から発振されるレーザ光(波長)によって、材料に及ぼす熱影響、
発振できる出力、導入コストや加工径が異なる様子を示している。
ここで各レーザ光(波長)を発振するレーザ発振器の選定におけるポイントを見てみる。

  1. 赤外線レーザ発振器
    通常、赤外線レーザは熱加工用に利用されるが、赤外線レーザであっても、パルス幅が十分に
    短いパルスレーザであれば、レーザ光を吸収した材料内で瞬時に溶融、蒸発、飛散・除去する
    アブレーション加工を行うことができる。
    赤外線レーザは、紫外線レーザや極短パルスレーザと比較して導入コストが低いため、
    予算的にも導入しやすい。
    しかし、加工面への熱影響は、紫外線レーザや極短パルスレーザと比較すると大きいため、
    加工品質の許容範囲を検討する必要がある。
    MEMO
     赤外線レーザ:CO2レーザ、YAGレーザ、YVO4レーザ、ファイバーレーザ

  2. 紫外線パルスレーザ発振器
    波長が短くなればなるほど材料への吸収率が増し、かつ1パルス当たりの光エネルギーが
    増すため、熱損傷の少ないアブレーション加工を効率的に行うことができる。
    赤外線レーザと比較した場合、加工部周辺への熱影響は少ない。
    さらに紫外線レーザの場合、導入コスト及びランニングコストの面で赤外線レーザよりも高価で ある。
    MEMO
     紫外線レーザ:第3高調波レーザ、第4高調波レーザ、エキシマレーザ

  3. ピコ秒、フェムト秒のパルス幅を持った極短パルスレーザ発振器
    パルス幅がピコ秒より短くなると、材料の吸収率が少ない場合であっても多光子過程による
    非線形吸収を引き起こし、紫外線レーザよりも熱損傷の少ない加工を行うことができる。
    ただし、吸収される箇所があまりに局所的となるため、1ショット当たりの加工量が少ない。
    そのため、精密な加工で時間を要しても加工品質に重点を置いている場合に適している。
    加工タクトを上げるためにレーザ出力及び繰返し周波数を上げていくと熱影響が加工面に
    出てくるので注意が必要である。
    MEMO
     極短パルスレーザ発振器:ピコ秒レーザ、フェムト秒レーザ

材料と各レーザ発振器による加工例


材料と各レーザ発振器による加工例

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